ライヴ協賛を実施しても「ロゴ露出だけでは効果測定が難しい」と感じていませんか。実は、開演前・休憩中・終演後といった待機時間こそ、来場者との深い接点を構築できる貴重な機会です。
ここでは、待機時間を活用した体験型マーケティングの設計方法から、具体的な協賛メニュー、成功事例まで解説します。
アーティストライヴで見られる3つの幕間

ライヴ会場では、音楽が鳴っていない「幕間」と呼ばれる待機時間が必ず発生します。これらの時間帯は来場者の心理状態や行動パターンが大きく異なるため、それぞれの特性を理解することがマーケティング施策の成否を分けるでしょう。
開演前(入場~開演まで)
開演前の待機時間は、入場開始から本編が始まるまでの30分~60分程度の時間帯を指します。来場者は席に着いてから開演を待つ間、高揚感と期待感に満ちた状態にあり、周囲の雰囲気を楽しんだり、スマートフォンで写真撮影やSNS投稿を行ったりする行動が多く見られます。
この時間帯は会場全体が活気づいており、来場者の注意が分散しているものの、情報を受け取る余裕があるのが特徴です。
休憩時間・転換中(インターミッション)
前半と後半の合間に設けられる休憩時間や、セット転換のための待機時間は通常10分~20分程度です。来場者は前半の興奮をまだ保ちながらも、一息つくタイミングとして席を立ってトイレに向かったり、グッズ購入列に並んだりします。
この時間帯の特徴は、来場者がすでにライヴの熱量を体感しており、アーティストへの好意的な感情が最高潮に達している点にあります。
終演後(終演~退場まで)
ライヴ終了後、余韻に浸りながら退場するまでの時間は15分~30分程度です。来場者は満足感と充実感に包まれており、「今日の体験を誰かと共有したい」という強い欲求を抱いています。
退場時の混雑を避けるために席で待機する人や、会場周辺で記念撮影を楽しむ人も多く、この時間帯は次の行動につなげやすい心理状態にあると言えるでしょう。
待機時間を活用した体験設計が重要な3つの理由
ライヴ会場における待機時間は、単なる「何もしない時間」ではありません。来場者の心理状態が最も受容的になり、SNS投稿が自然発生し、即時コンバージョンへの導線を構築できる貴重な機会です。
来場者心理が最も受容的になる
ライヴ会場での待機時間は、来場者の心理的防衛心が最も低くなる特別な時間帯です。日常生活において人々は広告やマーケティングメッセージに対して無意識のバリアを張っていますが、ライヴという非日常空間ではそのバリアが緩み、企業のメッセージを素直に受け入れやすい状態になります。
SNS投稿やUGC創出の機会になる
待機時間は、来場者が自発的にSNSへ投稿し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を創出する絶好の機会です。企業が作る広告よりも信頼性が高く、共感を呼びやすいUGCは、音楽LIVE協賛のマーケティング効果を飛躍的に高めます。
即時CVへの最短導線を構築できる
待機時間は、来場者がスマートフォンを手にしており、かつ行動を起こしやすい心理状態にある貴重な時間です。同時に「ライヴ参戦のため用意してきた予算の使い道」を探しており、消費意欲が最高潮に達しています。この機会を活かせば、認知から購入・登録までの導線を一気に構築できるでしょう。
ライヴの待機時間を最大化する体験設計の基本

待機時間を活用した体験設計は、タイミングごとに来場者の心理状態や行動パターンが異なることを理解し、それぞれに最適な施策を配置することが重要です。
ここでは、開演前・休憩時間や転換中・終演後の3つのフェーズに分けた体験設計の基本を解説します。
開演前の「導入体験」の設計
期待感と高揚感が高まる開演前のタイミングは、印象的な初回接触を図ることで、その後のエンゲージメントを大きく高められます。
体験設計に落とし込むべき具体的な施策としては、
- 入場ゲート付近にアーティスト等身大パネルを設置
- 会場内のいたるところでCMを繰り返し放映する(会場によっては制限されているところもある)
- ホワイエで五感を使った商品体験を提供
- QRコードから特設ページへ即時誘導
これらの施策は「人の流れが自然に止まる地点」に配置することがポイントです。開演前に複数回接触させることで、転換中・終演後のメッセージ想起率が高まり、継続的なエンゲージメントへとつながります。
休憩時間・転換中の「深化体験」の設計
ライヴ前半で高まった熱量を保ちながら一息つくこのタイミングは、開演前のメッセージを繰り返すことで、ブランド印象をさらに深められます。
体験設計に落とし込むべき具体的な施策としては、
- 開演前と同じメッセージでCMを放映する
- ロゴ・企業名を視界に入りやすい場所に設置
- 動線上にQRコード付きPOPを配置
- アーティストの世界観と調和したビジュアルの掲示
同じメッセージに短時間で複数回接触させる「繰り返し効果」により、ブランドへの親近感が高まります。この強化された記憶は、終演後の即時アクションへとつながります。
終演後の「接続体験」の設計
満足感と充実感に満たされた終演後のタイミングは、感情が高ぶった状態での即時アクションを促すことで、長期的な関係構築へと発展させられます。
体験設計に落とし込むべき具体的な施策としては、
- 限定クーポンの周知、配布
- 帰路でのサンプルりようをを促進
- 会場限定特典を延長し、帰宅後のオンライン誘導を実現
- 翌日フォローメールで「昨日の特別な時間」をリマインド
これらの施策は、「今この瞬間の感情を形にしたい」という欲求を捉えます。会場での体験をデジタル施策と連動させることで、ライヴ終了後も継続的なエンゲージメントが生まれます。
アーティストライヴの待機時間を利用したマーケティング成功事例
スポンサーシップマーケティングでは、待機時間を利用した成功事例が多数あります。ここでは、スポーツイベントの協賛事例を含め、それぞれの体験設計を研究してみましょう。
事例1|モンスターエナジージャパン×パ・リーグ球場での終演後サンプリング施策
モンスターエナジージャパンは2025年にパシフィックリーグとスポンサーシップ契約を締結し、パ・リーグ6球場で開催される公式戦において、7回裏終了後の退場時に15歳以上の来場者を対象としたサンプリング(先着15,000名)を実施しました。
試合の興奮が冷めやらぬ終演後の退場タイミングで各ゲートにて商品を配布することで、帰宅後の商品試用を促進し、スポーツ観戦という高揚体験とブランドを結びつける戦略です。この施策は、終演後の満足感に満たされた来場者の「今日の体験を延長したい」という心理を捉え、帰路での即時体験へと誘導する設計となっています。
参考:モンスターエナジー公式サイト「モンスターエナジー初、日本のプロ野球シーンに参入!
事例2|サントリー生ビール×BE:FIRST SUMMER SONIC 2025での待機時間フォトブース展開
サントリー生ビールは、SUMMER SONIC 2025(東京・大阪会場)において、同ブランドのアンバサダーを務める人気グループBE:FIRSTのメンバーJUNON・LEOの巨大パネルを設置したフォトブースを展開しました。
新プロジェクト「生:FIRST」の一環として実施されたこの施策は、ライヴの合間や休憩時間に来場者が自由に撮影できる体験型スペースを提供し、ビールを片手に夏の思い出を写真に残す機会を創出しました。音楽フェスの高揚感とアーティストへの熱量が最も高まるタイミングで、ブランドとの接点を自然に生み出し、SNS投稿を通じた二次拡散にも成功した事例です。
参考:サマソニ企業ブースレポート【SUMMER SONIC 2025 TOKYO 協賛スポンサー】(FESTIVAL LIFE)
事例3|KDDI「auフェスプロジェクト」による待機時間の充電・フォトスポット設置
KDDIは2023年夏から「auフェスプロジェクト」を開始し、FUJI ROCK FESTIVAL、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、SUMMER SONIC等の主要音楽フェスティバルで、来場者の待機時間を快適にサポートするauブースを展開しています。
終日開催イベントに不可欠なスマートフォンの無料充電サービスに加え、専任スタッフによるフォトスポット撮影サービスも提供し、2024年夏までに9回の音楽フェスでのべ18万名以上が利用しました。会場内でバッテリー残量を気にせずSNS投稿できる環境を整えることで、開演前や休憩時間に来場者がブース周辺に集まり、フェスの興奮をリアルタイムで共有できる仕掛けを構築しています。
参考:au公式サイト「auフェスプロジェクトを2025年夏も実施、快適な通信やPontaパス特典などを提供」
待機時間活用型LIVE協賛マーケティングでおすすめのメニュー

待機時間を最大限に活用するには、適切な協賛メニューを選択することが重要です。ここでは、認知拡大からコンバージョン獲得まで、幅広い目的に対応できる3つの主要メニューを紹介します。
会場内CM・大型ビジョン放映
会場内CMは、来場者の注意が最も集中するタイミングで企業メッセージを届けられる、視覚的インパクトの強い協賛メニューです。大型スクリーンという圧倒的な存在感を活かし、短時間で強い印象を残せます。
放映するCMの制作や放映計画では、
- 3秒でカテゴリを想起させる冒頭メッセージ設計
- QRコードとキャッチコピーのセット表示
- 会場音響・視認条件に合わせた映像・音声の最適化
以上を意識すると良いでしょう。
バナー・看板掲出
バナーや看板は、常時表示される静的な接点として、ブランド認知の定着に大きく貢献します。会場内CMと異なり、来場者の視界に何度も入るため、接触回数が圧倒的に多くなるのが特徴です。
設置や掲出計画では、
- 視認性の高い位置への配置(客席周辺・手すり・通路など)
- 可読性の確保(短いコピーや巨大QRコードなど)
- 照明変化への対応(非反射素材・高コントラスト配色など)
- 会場内CMとのビジュアル統一
以上を意識すると良いでしょう。一般的には、同じメッセージに7回以上接触することで、ブランド想起率が大幅に向上するとされます。
フォトスポット・SNS連動企画
フォトスポットは、来場者が自発的に撮影・投稿する仕組みを作ることで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を創出し、二次拡散を狙える協賛メニューです。企業が発信する広告よりも信頼性が高く、共感を呼びやすいのが最大の特徴です。
設置やキャンペーン設計では、
- 撮影を喚起する内容(アーティスト等身大パネルなど)
- 企業ロゴが自然に写り込む設計
- 投稿率を大幅向上する工夫(指定ハッシュタグなど)
以上を意識すると良いでしょう。創出されたUGCは、イベント終了後も企業の貴重なマーケティング資産として長期活用できます。
ライヴ協賛は「待機時間の体験設計」で費用対効果が劇的に変わる
ライヴ協賛における待機時間の活用は、従来のロゴ露出型協賛とは一線を画す、体験設計型のマーケティング手法です。開演前・転換中・終演後という3つのタイミングで、来場者の心理状態に合わせた施策を展開することで、認知拡大からコンバージョン獲得まで、一貫した成果を生み出せます。
ライエルは、企画立案から協賛メニューの選定、アーティストとのマッチング、実施後の効果測定まで、ライヴ協賛のすべてをワンストップで支援します。中小企業でも実施可能な柔軟なプラン設計と、豊富なアーティストネットワークにより、貴社の課題に最適な協賛プランをご提案いたします。










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