CSR活動とは|取り組み事例・新しい手法「アーティストライブ協賛」のメリット

CSR活動について「具体的に何から始めれば良いかわからない」「自社のリソースで実現できる効果的な取り組みを知りたい」などの疑問を抱く企業は多く存在します。

ここでは、CSR活動の基本的な定義やメリットから、規模・分野別の具体的な取り組み事例までを網羅的に解説します。さらに、従来の枠を超えた新しいCSRの形として、企業のブランド価値と社会貢献を両立させる「アーティストライブ協賛」という選択肢を、その可能性とともに紹介します。

CSR活動とは|企業が取り組むべき理由とメリット

企業の社会的責任、いわゆる「CSR活動」は、もはや単なる慈善活動や法令遵守の枠を超え、企業成長に不可欠な経営戦略として位置づけられています。しかし、その重要性を認識しつつも「具体的に何をすれば良いのか」「自社にどんなメリットがあるのか」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。

ここで、CSR活動の基本的な定義から、中小企業が取り組むべき理由まで整理してみましょう。

そもそもCSR(企業の社会的責任)とは

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が利益を追求するだけでなく、事業活動を通じて環境や社会へ与える影響に責任を持ち、顧客、株主、従業員、地域社会といったステークホルダーからの要求に対して、適切な意思決定を行う責任を指します。

その範囲は、コンプライアンス(法令遵守)やコーポレートガバナンスといった守りの側面にとどまりません。環境保護、人権への配慮、地域社会への貢献など、より広範で自主的な取り組みが含まれるのです。

近年注目されるCSV(共通価値の創造)が、社会課題の解決を事業の利益に直結させる考え方であるのに対し、CSRは企業を取り巻く社会全体の持続可能性に貢献するという、より包括的な概念として捉えられています。

企業がCSR活動に取り組む4つの具体的メリット

CSR活動は、コストではなく「未来への投資」です。社会的責任を果たすことは、巡り巡って企業に多くの恩恵をもたらします。

ここでは、CSR活動がもたらす具体的なメリットにつき、企業ブランド・採用・従業員エンゲージメント・ステークホルダーとの関係」という4つの観点から解説します。

企業ブランドイメージの向上と信頼獲得

企業が社会的課題へ真摯に取り組む姿勢は、製品やサービスの機能的価値だけでは得られない「共感」や「応援したい」というポジティブな感情を生活者の中に育みます。くわえて、平時から地域貢献や環境保護といった活動を継続することは、社会との良好な関係を築き、企業のファンともいえるステークホルダーを育成します。

万が一、不祥事などが発生した際にも、こうした活動を通じて培われた信頼が企業を支え、ダメージを最小限に抑えるレジリエンス(回復力)の高い企業体質へと繋がるのです。

採用競争力の強化と人材定着

深刻な人手不足が続く現代において、人材獲得は企業の生命線です。とくにミレニアル世代やZ世代は、給与や待遇だけでなく「その企業で働くことに社会的な意義を見出せるか」を重視する傾向にあります。

魅力的なCSR活動は、採用サイトや求人広告だけでは伝わらない企業の価値観や社風を、具体的かつ説得力を持って発信する有効な手段となります。自社のCSR活動に共感して入社した人材は、企業へのエンゲージメントが高く、入社後のミスマッチが少ないため定着しやすいというメリットも期待できるでしょう。

従業員エンゲージメントの向上

CSR活動は、社外だけでなく社内にも良い影響をもたらします。従業員がボランティア活動などに参加し、自社が社会に貢献していると実感することは、会社への誇りや仕事への働きがいを高めることに直結します。

また、普段の業務では接点のない部署のメンバーが、CSR活動を通じて協力し合う機会は、部門間の壁を取り払い、組織の一体感を醸成する絶好の機会です。従業員一人ひとりが「自分の仕事が社会の役に立っている」という意義を再認識することで、組織全体の活性化が期待できます。

顧客・取引先・株主との関係強化

CSRは、あらゆるステークホルダーとの関係を良好にする潤滑油の役割を果たします。顧客に対しては、企業の姿勢への共感がロイヤリティを高め、長期的なファン、すなわちLTV(顧客生涯価値)の高い顧客育成に繋がります。

近年では、取引先を選定する際に相手企業のCSRへの取り組みを評価する「サプライチェーンCSR」の考え方も広まっています。さらに、ESG投資の観点から見れば、長期的な視点で企業の持続的成長を重視する投資家からの支持も得やすくなるでしょう。

自社でできるCSR活動の始め方3ステップ

CSR活動で最も大切なのは、自社の理念や強みを活かした「自社らしい」取り組みを見つけることです。ここでは、どんな企業でも今日から実践できる、CSR活動の始め方を具体的な3つのステップに分けて解説します。

ステップ1|自社の理念や事業との関連性を明確にする

効果的なCSR活動の第一歩は、外に目を向ける前に、まず自社の内側を深く見つめ直すことです。改めて「自社は社会に対して、誰に、何を、なぜ届けたいのか」という企業の存在意義(パーパス)を問い直してみましょう。

次に、そのパーパスを実現するために自社が持つ独自の強み、つまりリソースを棚卸しします。それは、長年培ってきた技術やノウハウかもしれませんし、地域に根ざした店舗網や、情熱を持った人材そのものかもしれません。

ステップ2|取り組むべき社会課題を特定する

自社の理念と強みが明確になったら、次はその力をどの社会課題に向けていくかを特定します。このとき、強力な羅針盤となるのが、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)です。17のゴールと169のターゲットを眺めることで、自社が貢献できるテーマがきっと見つかるでしょう。

とくに注目したいのが、自社の本業を通じて社会課題を解決する「本業連動型CSR」です。例えば、IT企業が地域の子供たちにプログラミング教育を提供したり、食品メーカーがフードロス削減に取り組んだりする活動は、企業の強みを最大限に活かせる持続可能なモデルといえます。

ステップ3|具体的な活動計画を立て、実行する

取り組むべきテーマが決まったら、いよいよ実行計画を立てます。活動が「やりっぱなし」で終わらないよう、「年間で〇〇時間のボランティア活動を実施する」「売上の〇%を寄付する」といった具体的な目標(KGI/KPI)を設定することが重要です。

同時に、その目標達成に必要な予算や人員を確保し、責任を持つ担当部署を明確にします。最初から大規模な計画を立てる必要はありません。まずはスモールスタートで、関係者からのフィードバックを得ながら改善を繰り返すアプローチが現実的です。

重要なのは、活動の様子や成果につき、自社のウェブサイトやSNSで積極的に発信することです。情報発信は、社内の士気を高めると同時に、社外のステークホルダーを巻き込み、活動の輪を広げていくための大切なプロセスだといえます。

【規模・分野別】企業のCSR活動の取り組み事例

企業のCSR活動の取り組み事例は実に多様で、具体的な企業の取り組み事例を見ていきましょう。他社の活動を知ることは、自社に合ったCSR活動のアイデアを得るための近道となります。ここで3つの例挙げてみましょう。

Totsu株式会社 × 軽井沢大賀ホールCLASSICS

AV機器の専門商社であるTotsu株式会社は「良い音楽を聴く人を増やすこと」「良い音楽に携わる人を支援すること」「子供達に良い音楽を学ぶ機会を作ること」をCSR活動の目標に掲げ、長年にわたり軽井沢大賀ホールが主催するクラシックコンサートシリーズに協賛しています。反田恭平氏や辻本玲氏など、世界的に活躍する音楽家のリサイタルを支援し続けています。

この事例は、自社の事業領域(音響・映像)と親和性の高い文化活動を継続的に支援することで、一貫性のある企業姿勢を示す好例です。単発のイベント協賛ではなく、特定のホールやコンサートシリーズと長期的な関係を築くことで、地域文化の育成に深く貢献しています。中小企業が自社のフィロソフィーを体現し、地域社会に根ざした信頼を構築するための、息の長いCSR活動の手本と言えるでしょう。

【参考】「軽井沢大賀ホール CLASSICS 2024」に協賛いたします

ヒビノ株式会社 × 全国高等学校軽音楽大会

音響・映像サービスの専門企業であるヒビノ株式会社は、自社の技術力や機材を活かす形で、社会貢献活動に取り組んでいます。「第46回全国高等学校総合文化祭東京大会 軽音楽部門大会」や「東京都高等学校文化祭軽音楽部門 中央大会」といった高校生のバンドコンテストに、大型映像サービスを無償で提供しています。

この活動は、自社の本業を通じて次世代の文化活動を支援する、非常に実践的なCSRの形です。高輝度プロジェクターや大型スクリーンを提供し、プロの現場さながらの演出で高校生たちの晴れ舞台を支えることは、若者の夢を応援すると同時に、未来の音楽業界を担う人材育成にも繋がります。企業の持つ専門性を社会に還元し、未来への投資を行うという、中小企業でも実現可能な社会貢献のモデルを示しています。

【参考】ヒビノ、高校生の音楽芸術活動を大型映像の力で応援

日本特殊陶業株式会社 × 防災・減災コンサート

自動車部品やセラミックス製品の大手メーカーである日本特殊陶業株式会社は、ネーミングライツを持つNiterra日本特殊陶業市民会館(名古屋市)において、地域の警察署や消防署と共同で「避難訓練コンサート」を共催しています。このイベントは、音楽コンサートを楽しみながら、防災講話やシェイクアウト訓練、緊急地震速報に合わせた避難訓練などを体験できるユニークなものです。

これは、文化振興と地域防災という2つの社会課題を融合させた、独創的なCSR活動です。企業が持つ施設(ネーミングライツ)を地域住民の安全意識向上のために活用し、音楽という親しみやすいコンテンツを通じて防災知識の普及に貢献しています。企業の拠点を置く地域社会の安全・安心に直接的に寄与する、地域密着型CSRの優れた事例と言えます。

【参考】日本>防災・減災コンサートを共催しました!(2022.3.11)

新しいCSRの形「アーティストライブ協賛」のインパクト

CSR活動における新しい選択肢は「アーティストライブ協賛」です。ここでは、多くの企業が抱えるCSRの課題を整理し、その解決策となりうるライブ協賛の可能性と具体的なメリットについて掘り下げていきます。

多くの企業が抱えるCSR活動の課題とは?

CSR活動を推進する上で、多くの企業が共通の課題に直面します。

課題の1つ目は「効果測定の難しさ」です。活動の成果が売上などの経営指標にどう結びついているのか、定量的に証明することは容易ではありません。

課題の2つ目は「社内浸透の壁」です。CSR担当部署だけの活動になりがちで、全社的なムーブメントにならず、従業員の「自分ごと化」が進まないケースも多く見られます。

さらに、経営層から「儲からない活動」と見なされ、予算確保が難しいという声も少なくありません。その結果、毎年同じような清掃活動や形式的な寄付に留まってしまい、従業員の参加意欲は低下、社外的にもマンネリ化し、認知されにくいという悪循環に陥ってしまうのです。

なぜ今「ライブ協賛」がCSRとして注目されるのか?

アーティストライブという文化芸術を支援し、人々の心に豊かさや感動を届けることは、それ自体が非常に意義の高い社会貢献活動といえます。知名度の高いアーティストによる大規模なライブは、交通、宿泊、飲食など、開催地域に大きな経済効果をもたらし、地方創生や地域活性化に直接貢献するのでしょう。

とくに重要なのは、若年層への効果的なアプローチです。音楽は若者文化の中心であり、ライブ協賛は未来を担う世代とのポジティブな接点を創出する絶好の機会となります。この活動は、SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」や、ゴール8「働きがいも経済成長も」といった複数の目標達成にも繋がる、現代的なCSR活動なのです。

音楽・ライブ協賛の成功事例3選

ブランディング・認知力の向上のため行われることが多いアーティストライブへの協賛は、CSR活動として実際に多大な実績を残しつつあります。ここでは、その事例をいくつか紹介します。

BIPROGY × 川畠成道 New Year’s Concert 協賛

情報サービス企業のBIPROGY株式会社(旧:日本ユニシス)は、メセナ活動の一環として、視覚障がいを持つヴァイオリニスト川畠成道さんの音楽活動を1998年から長年にわたり支援しています。ニューイヤーコンサートなどへの特別協賛に加え、同社ならではのユニークなCSR活動を組み合わせているのが特徴です。

具体的な取り組みとして、日本点字図書館の協力のもと、コンサートに視覚障がいのある方々とそのガイドの方々を招待。さらに、同社の社員がボランティアとして参加し、会場内外での誘導などをサポートしています。この活動は、単なる資金提供による芸術文化支援に留まらず、障がい者支援と社員のボランティア活動を組み合わせることで、より深く多層的な社会貢献を実現しています。

【参考】BIPROGY株式会社 CSR活動リポート

ジェムソン × ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024

アイリッシュウイスキーブランド「ジェムソン」(ペルノ・リカール・ジャパン株式会社)は、日本最大級の野外音楽フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024」に初協賛し、飲食エリアにブランドブースを出店しました。これは、「人と人との結びつき」を大切にするブランドの価値観を、音楽フェスという多くの人が集い交流する場を通じて発信することを目的としています。

ブースでは、ブランドカラーである緑を基調とした空間で、主力商品である「ジェムソン・ソーダ」を提供。さらに、商品を購入し、指定のハッシュタグをつけてSNSに投稿した来場者にオリジナルタオルをプレゼントするキャンペーンを実施しました。これにより、製品の体験機会を創出すると同時に、SNS上での自然な口コミ拡散を促進しています。ブランドの世界観を五感で体験してもらい、若年層を中心とした新たな顧客とのエンゲージメントを深める戦略的な協賛事例です。

【参考】PR TIMES プレスリリース

まとめ|自社に合ったCSR活動で、企業の未来を創造しよう

CSR活動で重要なのは、企業規模に関わらず、自社の理念や強みを活かした「自社らしい」活動を見つけることです。その新しい選択肢の一つが「アーティストライブ協賛」であり、文化芸術の支援や地域貢献を通じて企業のメッセージを熱量高く届けられるこの手法は、現代における効果的なCSR活動の最適解となり得ます。

アーティストライブへの協賛は、私たち「ライエル」にお任せください。全国の協賛可能なライブ情報のご提供から、貴社の目的に合わせたプランニング、主催者との交渉まで、専門家がワンストップでサポートします。

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